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アルコール性心筋症(Alcoholic cardiomyopathy)

アルコール関連の合併症って多岐に渡るので難しいですよね。最近原因がはっきりしない拡張型心筋症をみたのですが、アルコール以外に要因が見つからず除外的にアルコール性の心筋症という診断となりました。Up To Dateを見てみると、一つのページとして割かれておりそれなりに多い病態なんですね。Up To Dateの内容を中心にまとめてみました。

アルコール性心筋症とは

長期での大量のアルコール摂取により引き起こされる後天性の拡張型心筋障害である。

疫学

頻度は女性と男性共に同等だが、入院等の有害事象は男性が9:1で多い。
飲酒をしているが無症状の50人の男性、100人の女性を調べた結果、1/3で左室の機能低下が見られた。また、その機能低下の程度はこれまでの合計アルコール摂取量に関連していた。

病因

アルコール性心筋症の病因ははっきりと分かっていない。エタノール消費が直接的または間接的に(代謝物を介して)酸化ストレス、アポトーシス、ミトコンドリアの生体エネルギーの障害、脂肪酸代謝の変化、および心筋タンパク質異化の増加を引き起こす可能性があると言われている。

アルコール消費量と心不全の関係性アルコール消費量と心不全(HF)の関係は、J字型であり、低レベルから中レベルのアルコール消費量(つまり、女性の場合は1日1杯、男性の場合は1日2杯まで)でリスクが低下する。しかし、それよりも多量のアルコール摂取でリスクが高まります。

診断基準

  1. 長期間のアルコールの大量摂取(80g以上を少なくとも5年間)
  2. 拡張型心筋障害の特徴(左室の拡張、LVEFの低下)
  3. その他に拡張型心筋障害を起こす原因がない

鑑別診断

基本的に除外診断
その他の要因による拡張型心筋症の鑑別が必要である。
高血圧、心臓弁膜症、虚血性心疾患などの心不全を起こす原因や、拡張型心筋症を起こす疾患の鑑別が必要

治療

一番の治療は禁酒
アルコール性心筋症は可逆性があると言われており、特に病気の初期段階であれば中止または減量後に心機能の改善が見られることがある。
ただ、可逆性のマーカーは特定されておらず、どのような患者層が可逆性が見られるかははっきりしていない。