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【書評、まとめ】世界のエリートがやっている最高の休息法

最近話題の「瞑想」、「マインドフルネス」についての本です。アメリカで精神科病院を開業されている日本人精神科医の先生が書かれた本です。

この記事をおすすめする人

現代社会で疲れ、ストレスを感じる事がある人

上記の方(ほぼ全ての日本人?)にはオススメできる書籍と思います。ストレスの起源、解決方法等がわかりやすくまとまっています。

この本の要旨

挫折を経験した若き脳科学の研究者が、非科学的と否定的であったマインドフルネスを通して、行動変容・精神的に成長をしていくような内容です。ストーリー仕立てなので読みやすかったです。

近年アメリカの精神医療では薬物治療を避ける傾向にある。それは脳を1つの臓器として扱い直接治療するようなTMS磁気磁気治療等が進んできているから。

また、カウンセリングの分野でも瞑想等の認知行動療法を用いる、副作用のある薬剤に頼らない治療が進んできています。

私は精神科治療には精通していませんが、出来る限り薬剤に頼らない治療が進んできているというのはとても素晴らしい事だと思います。一般内科をしていても薬剤の副作用に困るという経験は少なくないです。

脳は「何もしない」でも疲れていく

脳は体が消費する全エネルギーの20%を使う臓器です。さらにそのエネルギーの大半はDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という脳回路に使用されている。DMNの活動を意識的に抑えなければ真に休息を得られることができない。

脳のアイドリング中に浮かんでくる雑念こそが脳疲労の最大要因の1つであり、その雑念を抑えることで脳を休ませることがマインドフルネス瞑想の基本メカニズムである。

九賀谷亮 『世界のエリートがやっている最高の休息法』 Chapter1

DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)
内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉から構成される脳内ネットワークで脳が意識的な活動をしていない時にも働く活動。

脳の休息とは?

ただの休憩ではない。マインドフルネスを用いることで、脳の休息だけでなく疲れづらい脳の可塑性により疲れづらい脳を作ることが出来る。

疲れない脳の構造は自分で作ることが出来る。

脳の疲労を解消する7つの休息法

本書では状況に応じて7つの休息法を紹介している。

1. とにかく脳が疲れているとき マインドフルネス呼吸法

2. 気づくと考え事をしているとき ムーブメント瞑想

3. ストレスで体調がすぐれないとき ブリージング・スペース

4. 思考のループから脱したいとき モンキーマインド解消法

5. 怒りや衝動に流されそうなとき RAIN

6. 他人へのマイナス感情があるとき やさしさのメッタ

7. 身体に違和感・痛みがあるとき ボディスキャン

九賀谷亮 『世界のエリートがやっている最高の休息法』 目次

今回は1,2,5について所感を交えながらまとめてみようと思います。

マインドフルネス呼吸法(とにかく脳が疲れている時)

マインドフルネスは脳の「働き」だけでなく、「つくり」も変えてしまう。つまり対症療法だけでなく、疲れに対しての予防にもなる。

脳のすべての疲れやストレスは過去や未来から生まれる。つまりすでに終わったことを気に病んだり、これから起きることを不安に思うことで、心が今にない状態。これが慢性化することで心が疲弊していく。

過去や未来から来るストレスから解放されることがマインドフルネスの目的

期待できる効果
  • 集中力の向上
  • 感情調整力の向上
  • 自己認識への変化
  • 免疫機能改善
具体的な方法

同じ時間・場所で1日5-10分でも良いので毎日続ける事が重要

  1. 基本姿勢をとる
    椅子に座る、お腹はゆったりして手は太ももの上、目は閉じる
  2. 身体の感覚に意識を向ける
    接触の感覚、身体が地球に引っ張られる重力の感覚
  3. 呼吸に注意を向ける
    呼吸に関わる感覚(切れ目、深さ等)を意識する、呼吸のコントロールは不要、「1」「2」・・・「10」とラベリングすることも効果的
  4. 雑念が浮かんだら
    その事に気づき注意を呼吸に戻す、雑念は生じて当然なので自分を責めない

ムーブメント瞑想(気づくと考え事をしている時)

誰もがマルチタスクで何かをしながら別の事を行っている。日常的に自動操縦モードになることにより雑念んが生じやすくなる。これを定常化しないために自動操縦モードを脱するために行う。

期待できる効果
  • 集中力、注意力の改善
  • フロー状態の実現
具体的な方法

「玄関を出たところから」や「食事中」等のタイミングを決めて習慣化する

  1. 歩行瞑想
    手脚の筋肉、関節の動き、地面と接触する感覚に注意を向ける
    「右/左」、「上げる/下げる」のように自分の動きにラベリングする
  2. 立った姿勢でムーブメント瞑想
    足を肩幅に開いて立ち、伸ばした両腕を左右からゆっくり上げていく
    腕の筋肉の動き、血液が下がってくる感じ、重力に意識を向ける
    上まで来たら、今度はゆっくり下げながら同様に
  3. 座った姿勢でムーブメント瞑想
    椅子に座った状態で後ろから前にゆっくり両方を回す
    筋肉や関節などの動き・感覚へ細かく注意を向ける
    一周したら、逆に肩を回しながら同様に注意を向ける
  4. その他の方法
    服を着る/歯を磨く等の日常動作に意識を向ける

RAIN(怒りや衝動に流されそうなとき)

脳に過度なストレスがかかると、本能や感情を司る扁桃体が暴走を始める。通常は理性に該当する前頭葉がそれを抑えるが瞑想を行うことで両者がフラットに均衡する脳構造を作ることが出来る。

私自身は幸いアンガーマネジメントは得意な方なのであまり困ったことはありません。ただ自分の思考の言語化ができず、後輩の指導については困る事が多かったです。医療を行っていると、「どちらも正しいがどちらかを決めなければいけない」という状況が多数あります。各々の正義を元にぶつかってしまう後輩も少なくなく、どう指導をすれば良いか悩んでいました。そんな時に一つの指導方法として参考にしようと思いました。

期待できる効果
  • 怒りの鎮静
  • 欲望のコントロール
  • 衝動の抑制
  • ダイエット
  • 禁煙
具体的な方法

怒り以外の様々な衝動にも有効

  1. Recognize(認識する)
    自分の中に怒りが起きていることを認識する
    怒りと怒っている自分を同一視しない
  2. Accept(受け入れる)
    怒りが起きているという事実を受け入れる
    その事実に価値評価を加えず、そのまま許す
  3. Investigate(検証する)
    怒った時に身体に何が起きているかを検証する
    心拍がどう変化しているか?身体のどこかが緊張しているか?
  4. Non-Identification(距離を取る)
    自分の感情を個人的に捉えない
    怒りを突き放して「他人事」のように捉えてみる

まとめ

以前より「マインドフルネス」、「瞑想」について興味はありましたが実際に書籍を読んだのは初めてでした。理論、手法もとても興味深かったですが、何よりも現実で実際に生活する人が経験しうる具体的な悩みを元に内容が展開されており、とてもわかりやすく、スッと頭に入ってくるような文章でした。

瞑想の効果は自分で経験したわけではないのでまだなんとも言えませんが、まずは5分で良いから習慣化して継続していきたいと思っています。