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【MKSAPまとめ】心房粗動、動脈管開存、シンドロームX

MKSAPはやるたびに新しい学びがありますね。

循環器Q12 78歳男性 治療は?

動悸、倦怠感、運動ができなくなったとの症状で来院した。2か月前に心房粗動と診断され電気的除細動で洞調律に復帰した。その後の携帯型心電図モニタリングでは69回 /分の再発性心房粗動が同定された。薬は、ワルファリン、メトプロロール、リシノプリル、低用量アスピリン、およびアトルバスタチンです。身体検査では、脈拍数は73 /分で不規則。その他のバイタルサイン、身体所見は正常。
検査所見:TSH、BNPは正常
心電図:EFは55%以上で、運動負荷心電図も変化なし

  1. アミオダロン
  2. 心カテ
  3. カルディオバージョン
  4. カテーテルアブレーション

ポイント

適切なリズムコントロールを行っても、症候性心房粗動が持続する患者はカテーテルアブレーションを行う

心房粗動の心電図

三尖弁輪の周りを反時計に回るようなリエントリーが原因となる事が多く、V1で正の粗動波、Ⅱ、Ⅲ、aVFで逆向きの粗動波を生じる。非典型的な心房粗動は回路を時計周りに回ったり、別の部位でリエントリーが生じることによる。先天性の心疾患やアブレーション後の患者に多い。

治療

心房細動の管理と似ているが、心房粗動ではリズムコントロールが好まれる。レートコントロールは通常困難な事が多く、高用量になってしまうためである。また、カテーテルアブレーションは成功率95%以上で、かつ合併症も少ないため最も確実な治療法である。抗凝固療法は心房細動の患者と同様の使用される。

循環器Q13. 18歳男性 診断は?

大学の身体検査で心雑音を指摘された。無症状で、心疾患の既往はなく、内服もない。
バイタルサインは正常である。中心静脈圧の亢進はなく、触診は正常で、S1を聴取する。左鎖骨下で連続性の雑音が聴取され、S2も聴取できる。その他には異常所見はない

  1. 大動脈弁逆流を伴う二尖大動脈弁
  2. 動脈管開存症
  3. 肺動脈弁閉鎖不全症
  4. 心室中隔欠損症

ポイント

鎖骨下にS2を含む連続性雑音を聴取した時には動脈管開存の可能性を考える。

軽度のPDAの患者は軽度の心雑音を聴取する以外には異常所見がないこともある。中程度のサイズのPDAの患者は、反跳脈、脈圧の開大、左心の肥大と機能不全、心不全の徴候を持つことがある。高度のPDAは肺高血圧、アイゼンメンジャー症候群をきたす。

循環器Q14 48歳女性  診断は?

数週間の労作性胸骨下胸痛で受診した。胸痛は安静で改善する。偏頭痛の既往がある。喫煙歴はなく、高血圧、高脂血症などの既往はない。ナプロキセン頓用以外の内服はない。バイタルサインは正常。

心電図では側壁で1.5mmのST低下がある。心筋シンチではストレス下で軽度の前壁灌流欠損があったが、CAGでは冠動脈病変はなかった。

  1. 自然開通したACS
  2. Cardiac Syndrome X
  3. 身体表現性障害
  4. たこつぼ型心筋症

ポイント

シンドロームX(Cardiac Syndrome X)は狭心症やストレス負荷の異常があるにも関わらず冠動脈に有意な病変がない事を特徴とする

シンドロームX(Cardiac Syndrome X)

比較的若い(女性)患者で、冠動脈リスクがないもしくは少ないにも関わらず典型的な狭心症やストレステストで異常をきたす。胸痛はしばしば古典的な労作性狭心症と見分けがつかず、ストレステストの結果は異常となる事が多いため鑑別が難しい事もある。多くの仮説が提案されており、微小血管機能障害が一因として考えられているが、原因ははっきりしない。治療として血管拡張薬が考慮される。

MINOCA(myocardial infarction in the absence of obstructive coronary artery disease)

冠動脈の閉塞を伴わないMIの総称であり、AMIの3-18%で見られるとされている。冠動脈閉塞、プラークがない場合の血行再建術は推奨されない。原因は次が挙げられる。

  1. 高血圧、左心室肥大、心筋症による心筋障害
  2. 冠攣縮性狭心症
  3. たこつぼ型心筋症
  4. シンドロームX
  5. 慢性炎症性筋疾患、神経筋疾患
参考文献

MKSAP18
急性冠症候群ガイドライン(2018年度改訂版)