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【MKSAPまとめ2】PADの内科治療/AAAの治療/Marfan症候群の妊娠

問題をピックアップしてまとめてみました。

56歳女性 間欠性跛行 対応は?

6ヶ月間で増悪する左ふくらはぎの不快感で受診した。2区画の歩行後にふくらはぎの張りを自覚し、不快感があり4区画で歩行を中止してしまう。5分間の休息で症状は改善する。休息中には痛みの自覚はない。

既往歴:高血圧と高脂血症
生活歴:50pac/年の喫煙歴があるが6か月前に禁煙
内服薬:低用量アスピリン、アムロジピン、シロスタゾール、高用量ロスバスタチン、ロサルタン

身体所見:バイタルサインは正常で、大腿骨と膝窩の脈拍は両側共に減弱している。後脛骨動脈は左側で触知できない。皮膚潰瘍はない。
検査所見:ABIは、左側が0.68、右側が0.86

  1. クロピドグレルの内服
  2. 監視下での運動療法を開始
  3. MRA
  4. カテーテルアブレーション

ポイント

間欠性跛行のある患者では、症状と歩行距離を改善するために、監督下で運動療法が推奨される

PADの内科治療

安定した跛行のある患者で2-4%程度が重度の虚血に進行し外科的血行再建術/切断術が必要となる事がある。進行をしていても症状が安定していればまずは内服治療と運動療法が適応となる。保存療法が失敗したり、重篤な虚血へ進行する場合にはMRA/CTAによる画像評価後に血行再建術を検討する。

内服治療としてはシロスタゾールを使用し、運動療法としては監督下で30-45分間の運動を週に3回、12週間行われる。

69歳男性 無症状の腹部大動脈瘤 対応は?

定期検査を受診した無症状の男性で腹部超音波で直径6.2cmの腹部大動脈瘤が指摘された。

既往歴:高血圧にとって重要
生活歴:50パック/年の喫煙歴があるが、7年前に禁煙
内服薬:アスピリン、リシノプリル、アムロジピン
身体所見:バイタルサインは正常で、腹部に血管雑音を聴取する。心窩部に拍動性の腫瘤がある

  1. 腹部大動脈および腸骨動脈の血管造影
  2. 血管内治療
  3. 開腹手術
  4. アムロジピンからメトプロロールへの変更

ポイント

治療適応のあるAAAでは、開腹手術 or 血管内治療のどちらを選択するかは動脈瘤の位置と腎動脈・腸間膜動脈を含むかどうかが重要

AAAの治療適応
  • 長径>5.5cm
  • 0.5cm/年で急速に増大
  • AAAに起因する症状(腹痛、腰痛)

最も強いリスク因子は最大動脈径である。

開腹手術 or 血管内治療

短期的な死亡率は血管内治療、開腹手術で大きな差はないが外科手術リスクが高い患者については短期死亡率が有意に低かったとの報告もある(1つの報告では30日で4.7% vs 19.2%)。長期的な予後についてはどちらが良いかはまだ明確にはわかっていない。患者の耐術能、寿命、EVAR施行後の定期的な受診が可能かどうか等を考慮しながら決定されます。

また、大動脈瘤の位置によっても適応する治療が変わる。腎臓、腸間膜動脈、副腎動脈が関与する場合には開腹手術となることが多いです。腎動脈より下の動脈瘤についてはEVARでも治療可能である。治療選択のためには動脈瘤の位置と範囲の把握が必要でありCTAやMRAが必要です。

26歳女性 Marfan症候群の女性の妊娠 対応は?

Marfan症候群の基礎疾患がある女性が妊娠前の評価のために受診した。自覚症状はない。

内服薬:メトプロロール
身体所見:バイタルサインは正常である。Marfan症候群に特徴的な骨格である。聴診では2/6の収縮期雑音と収縮中期クリック、明瞭なS1,S2を聴取する。浮腫はない。
心エコー:4.6cmに拡張した上行大動脈があり、大動脈弁逆流はない。僧帽弁逸脱により軽度の僧帽弁逆流を伴う。左心室のサイズと機能は正常である。

  1. 妊娠をしないよう指導する
  2. 僧帽弁への治療を行う
  3. 12ヶ月後にECGを再検する
  4. メトプロロールからロサルタンに変更する

ポイント

Marfan症候群の女性は妊娠に関連し、大動脈解離および破裂のリスクが高まる

Marfan症候群

Marfan症候群は常染色体遺伝で、フィブリンの異常により全身の結合組織が脆弱となることで血管等の合併症を生じる疾患です。特に妊娠により大動脈解離/破裂のリスクが高くなります。そのため、上行大動脈径が4.5cm以上の女性ではこのリスクを軽減するために妊娠前に大動脈修復手術を行う事が勧められます。一般的には大動脈の直径が4.0cm未満であれば安全に妊娠できるとされています。

参考文献

MKSAP18
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