ポイント
- 高齢者の診察では必ず耳をみる
- 耳たぶに皺があったらFrank’s signを疑い、冠動脈疾患を想起する
(感度51.3%、特異度84.8%、陽性適中率89.4%、陰性適中率41.2%)
高齢者の診察をしていると、たまに耳に皺が入っている所見が見られます。これはFrank’s signとして知られており冠動脈、脳血管の動脈硬化と関係していると言われています。ひと目見るだけでその患者さんの情報を得ることが出来るため、是非覚えておきたい身体所見です。
Frank’s sign
両側の耳にある深い折り目、もしくは皺とされており両者がくっついていることもある。また皺は斜め、後外側の方に降りていくように走っており耳たぶの1/2以上を占める。
病因ははっきりしていないが、「解剖学的にはどちらも側副血行路がない終末の血管が栄養しており、どちらも虚血の影響を反映している」との意見や「加齢により弾性繊維が減少するため生じる」等の意見がある。
論文より
CAG目的で2001年〜2002年に来院した423人(男性306人)を対象にFrank’ signの所見をとり実際にどれほどの診断能があるかをみた研究では、感度51.3%、特異度84.8%、陽性適中率89.4%、陰性適中率41.2%と言われている。
冠動脈疾患がなくとも年齢、性別、高血圧、喫煙とも関連があるとされており、CADがない患者さんでも一定数で見られることはある。
参考文献
B. Tranchesi et al., “Diagonal earlobe crease as a marker of the presence and extent of coronary atherosclerosis,” Am. J. Cardiol., vol. 70, no. 18, pp. 1417–1420, 1992.
H. Evrengül et al., “Bilateral diagonal earlobe crease and coronary artery disease: A significant association,” Dermatology, vol. 209, no. 4, pp. 271–275, 2004.