Q1. 32歳の甲状腺癌
ポイント
若年で甲状腺への放射線暴露を受けた人は、甲状腺がん・特に乳頭癌のリスクが高まる
12歳の時にホジキンリンパ腫に対して、放射線・化学療法を受け寛解した。その後32歳の時に右の頸部に腫瘤がありエコーで甲状腺癌の診断となった症例。
15歳未満、特に5歳未満で10rads以上の放射線暴露を受けた患者は乳頭癌のハイリスクと言われている。
術後の放射性ヨウ素(131I)は再発リスクが中〜高い患者に対しての甲状腺残存切除と補助療法の2つの目的で使用する。選択的に取り込ませることで腫瘍に直接作用することが出来る。
中〜高リスクの分化型甲状腺がんの治療にはレボチロキシンによるTSH抑制が行われる事もあり、低リスクの甲状腺がんでは正常下限から2をターゲットに調整することが多い。
Q2. 肥満の2型糖尿病の治療
ポイント
メトフォルミン使用中のDM患者でHbA1cの低下、体重減少を達成するため、リラグルチドを追加する
45歳の女性で初回の2型糖尿病の診断後、3ヶ月間の生活習慣改善・メトフォルミン内服でもHbA1cが9%以下とならなかった。その場合の追加薬剤はどうするべきか?
ADAによると、若年で健康な人のHbA1cは7%以下を目標にするべきと記載されている。アメリカ内科学会(ACP)では2型糖尿病は7-8%を目標にするが15年以上の予後が期待でき、血糖コントロールに関心がある場合にはさらに厳格なコントロールを推奨している。
3ヶ月間の生活習慣、メトフォルミン内服でも改善が乏しい場合にはDual-Therapyが推奨されている。追加の薬剤については低血糖リスク、併存疾患、年齢等で選ばれる。
リラグルチド(GLP-1)は、メトフォルミン使用中の患者において血糖コントロール改善・体重減少を期待する場合に有用な薬剤である。
膵炎・甲状腺髄癌のリスクが知られており注意が必要である。
Q3. 若年男性の原発性副腎不全に対してのアプローチ
ポイント
米国における原発性副腎不全機能低下の最も一般的な原因は自己免疫性副腎炎であり、21-ヒドロキシラーゼ抗体が90%の症例で陽性となる
症例は33歳男性で、倦怠感・体重減少、起立性低血圧、高K、ACTH高値・コルチゾル低で受診し副腎不全が疑われた。
若年男性の原発性副腎不全
- 21-ヒドロキシラーゼ抗体提出(自己免疫性副腎不全で90%陽性)
- CT検査(リンパ腫、サルコイドーシス、ヒストプラズマ症、結核、副腎出血)
まずは若年男性であり最も頻度が多いのは自己免疫性副腎炎で、21-ヒドロキシラーゼ抗体を提出する(90%で陽性となる)。また、自己免疫性副腎炎の患者は、原発性甲状腺機能低下症、原発性卵巣機能不全、1型糖尿病、セリアック病、自己免疫性胃炎等のその他の自己免疫疾患を発症するリスクがある。
抗体が陰性の場合には次にCT検査を行う。その他の原因として、リンパ腫・サルコイドーシス・ヒストプラズマ症・結核等の浸潤性障害があり、副腎の肥大を引き起こす可能性がある。
また両側副腎出血でも、急性副腎機能不全として発症することがある。原因としてプロテインCT欠乏症、抗凝固療法、DIC、敗血症等が挙げられる。
参考文献
MKSAP18